C-RAN

C-RAN (Centralized/Cloud Radio Access Network) は近年、ワイヤレス・インフラストラクチャー業界から大きな注目を集めています (「The Next Generation Network Takes Shape」 のページ参照)。 これは、TCO 削減、スペクトル効率向上、マルチスタンダード・サポートの簡素化、将来の展開など、C-RAN アーキテクチャーがもたらす大きな利点のためです。しかし、このアーキテクチャーがネットワーク・アーキテクチャー・コンバージェンスの観点から、NFV (Network Functionality Virtualization) や SON (Self Organized Network) への移行を補完することこそが最大の理由でしょう。

 

推進要因

スマートフォンやその他のポータブル機器の普及が進む中、モバイル・ブロードバンド・データ・トラフィックが急増し、データ容量需要が急激に高まっています。 その結果、既存のワイヤレス・ネットワークには以下のような大きな課題が生じています。

  • エア・インターフェイス・リソースとデータ容量の成長率の乖離
    データ・トラフィック需要は従来のエア・インターフェイス容量を超えて高まっており、新たなアーキテクチャーやアプローチが求められています。
  • コスト増加と収益成長の CAGR の乖離
    今後数年の間、データの急激な増加に対し、通信事業者の加入者あたり収益は小幅な成長にとどまると予想されています。したがって、通信事業者は採算性を確保しながらサービスを維持するために、ビット当たりのコストの削減を迫られています。
  • グリーン化の義務
    基地局数が大幅に増加した結果、ワイヤレス・ネットワークの消費電力が跳ね上がり、それに応じて運用費 (OPEX) も著しく増加しています。通信事業者は、トータル消費電力と OPEX 削減に向けて新たなアプローチが必要です。
  • ネットワーク・リソースの利用不足
    地域 (住宅地/商業地) や時間帯 (昼間/夜間、平日/週末) によって負荷のアンバランスが生じています。現在のネットワーク展開では、最悪状況の負荷に対応できるようにハードウェアをオーバープロビジョンにしなければならず、ネットワークは概して利用不足の状態です。
  • 高密度ネットワークに起因する干渉
    市街地では、基地局 (BTS) の高密度展開によってセル間干渉が発生し、性能が低下しています。

 

既存ワイヤレス・ネットワークにおけるこれらの制約のため、業界はいくつかの重要なイノベーションを検討することにより、ネットワーク・アーキテクチャーの最適化を図ろうとしています。それらの改善策を総称して C-RAN と呼んでいます。

 

  • 基地局数の削減
    基地局数の削減は、コスト (CAPEX および OPEX) の削減と将来のアップグレードの簡素化につながります。
  • COMP (Coordinated Multiple Processing) の使用
    度な COMP 機能は高密度地域におけるセル間干渉の問題を解決します。
  • シェアード・プロセッシング、ロード・バランシング、SON
    シェアード・プロセッシングは、要求または容量に基づいてセルサイト間で処理能力を割り当てることで運用効率の改善を実現します。また、処理能力の共用によってマルチセル・サイトの調整が可能になるほか、マルチバンド・サポートと併せて、負荷レベルの変動に対するエア・インターフェイスの動的な適応を可能にします。ロード・バランシングは、帯域幅需要の急増に対するネットワークの対応を支援し、リソースを自動的に割り当てることでネットワークの安定稼働を確保します。インテリジェント SON (Self-Organizing Network) は、ネットワークの計画、設定、管理、および最適化の簡素化によってネットワーク運用コストを削減することが期待されています。

これらのアーキテクチャーのイノベーションによって推進される C-RAN ソリューションは、基地局処理を 1 カ所に物理的に集約することで、大きな利点をもたらす可能性を秘めています。

 

C-RAN の概要

完全な集中アーキテクチャー

図 1 は、完全に集中化した C-RAN の基本原理を示しています。リモート無線ユニット (RRU) サイトの配置は従来の無線ネットワークと変わりませんが、ベースバンド・ユニット (BBU) の配置は従来の RRU と同一場所ではなく、集中化された場所に変わります。BBU は物理層 (L1) 以上のレイヤー機能を備えており、処理リソースの大規模なプールにマッピングされて NodeB 機能を仮想化します。

また、複数のトラフィック・ストリームを動的に相互接続するために、クラウド・ターミネーターと呼ばれるスイッチレイヤーも導入されます。このレイヤーを使用して異なるインタフェース・プロトコルのブリッジ、接続、およびコントロールを行うことにより、動的なロード・バランシングを容易にします。

LTE はデータ処理に対するレイテンシー要件が非常に厳しく、例えばラウンドトリップ・レイテンシーは 5 ms 未満、ベースバンド・フレーム処理は 1 ms 未満でなければなりません。そのため、RRU サイトと中央の BBU サイト間の伝送は高スループット (10 Gbps 以上) でなければならず、数十ミリ秒という低いレイテンシーが要求されます。

FPGA は CRAN アーキテクチャーの要件

C-RAN の重要な要件として、リコンフィグレーション可能性、確定的な低レイテンシー動作、柔軟なハードウェア・アクセラレーター、高速スイッチング性能が挙げられることから、FPGA は必然的に CRAN アーキテクチャーのコンポーネントとして最適といえます。