Cyclone III FPGA — 低消費電力へ最適化

アルテラのCyclone® III FPGAは、システム温度管理、冷却システム・コストの排除または削減、ポータブル・アプリケーションのためのバッテリ寿命の延長などを実現するために消費電力を最適化します。Cyclone III および Cyclone III LS デバイスは、スタティック消費電力が 0.25W 以下(85 ℃での標準値)の最大 20万個のロジック・エレメント(LE)を搭載した初の FPGA です。

低消費電力 65nm FPGA の実現に向けてアルテラが注力したポイントについて紹介します。

Cyclone III FPGA の消費電力

半導体プロセスでは、消費電力低減のための対策を講じない場合、スタティック消費電力が大幅に増大する可能性があります。サブミクロン・プロセス・テクノロジでスタティック消費電力が増加する原因は、主に 65nm プロセスで使用される薄いゲート酸化膜に流れるトンネル電流、そしてサブスレッショルド・リーク(チャネル - およびドレイン - ソース電流)などのリーク電流の増加にあります。以下の「シリコンおよびアーキテクチャの最適化」の項目で解説しているように、アルテラは Cyclone III デバイスのスタティック消費電力を削減するため、重要な取り組みを行いました。

図 1 に、Cyclone III デバイスを 85 ℃で動作させた場合のスタティック消費電力を示します。最小 の Cyclone III デバイス EP3C5の 85 ℃時のスタティック消費電力はわずか 50 mW、最大の Cyclone III FPGA EP3CLS200 の 85 ℃時のスタティック消費電力もわずか 238 mW です。

図 1. Cyclone III FPGA の標準的なスタティック消費電力

Figure 1. Typical Static Power Consumption of Cyclone III FPGAs

低消費電力の利点

プログラマブル・ロジック・デバイスの消費電力の低減により、以下を含む多くのアプリケーションでさまざまな利点が得られます。

  • ポータブルまたはハンドヘルド・バッテリ駆動装置
  • スペース制約やその他発熱に厳しい環境
  • 冷却システムがコストに見合わない価格重視のアプリケーション

Cyclone III FPGA ファミリは、アルテラがリードする最低消費電力 FPGA の頂点に位置しています。アーキテクチャおよびシリコン機能強化による包括的アプローチ、最新の半導体プロセス・テクノロジ、および顧客向けの完全な消費電力管理ツールを融合することにより、アルテラは 90nm ベースの Cyclone II FPGA と比較して最大 50% の消費電力の削減を達成しており、 Cyclone III FPGA ファミリは同様の FPGA においても消費電力が最も低いです。

シリコンおよびアーキテクチャの最適化

Cyclone III FPGA は、他の主要半導体メーカがハンドセット・コンポーネント用に採用している TSMC の低消費電力 65nm プロセスをベースに開発されています。この高性能プロセスとアーキテクチャの最適化によって達成した小型化により、Cyclone III デバイスのダイナミックおよびスタティック消費電力が最小限に抑えられ、全体の消費電力は 90nm ベースの Cyclone II FPGAと比較して最大 30% 削減されます。 アルテラが Cyclone III FPGAで採用しているプロセスおよびアーキテクチャ機能拡張には、Low-K 低誘電体、複数のチャネル長および酸化膜厚、複数のトランジスタ・スレッショルド電圧の使用などが含まれます。 これら機能強化について詳しくは、 世界初の低コスト 65-nm FPGA を実現を参照してください。

正確な消費電力の見積もりおよび解析

アルテラは、最も正確かつ完全な消費電力管理設計ツールで、デザイン・コンセプトから実装に至るまで消費電力の見積もりおよび解析をサポートします。アルテラは 85 ℃ およびワースト・ケースのシリコン条件における低コスト FPGA ファミリの消費電力の見積り値をツール・スイートで提供する唯一のプログラマブル・ロジック・ベンダーであり、正確な消費電力解析を提供します。アルテラは以下の消費電力見積りおよび解析リソースを提供します。

PowerPlay Early Power Estimator (EPE) はデザイン・コンセプト段階で使用し、PowerPlay Power Analyzer はデザインの実装段階で使用します。PowerPlay EPE は、デバイスおよびパッケージの選択、動作条件、およびデバイス利用率に基づき、早期における消費電力の解析を可能にするスプレッドシート・ベースの解析ツールです。

PowerPlay Power Analyzer は、実デザインの配置配線およびロジック・コンフィギュレーションを使用するだけでなく、シミュレーション・データを利用して非常に正確にダイナミック消費電力を見積もることができます。Power Analyzer は、正確なデザイン情報を入力することにより、通常 ±10% 精度の見積り値を提供できます。Quartus II PowerPlay パワー・モデルは、実際のシリコン測定値との相関が取れています。アルテラは、5,000 以上のさまざまなテスト・コンフィギュレーションを使用して Cyclone シリーズ FPGA 内の各回路構成の消費電力を測定します。それぞれのコンフィギュレーションは、特定のモードにおいて FPGA の単一回路構成を測定します。

Quartus II の消費電力の最適化

デザイン実装の詳細設定により、性能の向上、エリアの低減、および消費電力の削減を達成できます。従来、性能と面積のトレード・オフは、配置配線デザイン・フローを通して RTL (レジスタ転送レベル)内で自動化されてきました。アルテラは消費電力最適化機能をデザイン・フローに取り入れるリーダシップを取っています。Quartus II PowerPlay 最適化ツールは、自動的に Cyclone III FPGA アーキテクチャ機能を使用してさらに消費電力を削減し、Cyclone II FPGA と比較して最大で 25% の削減を達成しています。シリコンおよびアーキテクチャの最適化によって得られる削減と合わせると、90nm ベースの Cyclone II FPGA と比較して最大で 50% の消費電力が削減されます。

Quartus II 開発ソフトウェアに備えている多くの自動消費電力最適化機能は設計者が意識する必要はなく、以下のように FPGA アーキテクチャの細部に至るまで最適な利用を可能にし、消費電力を最小限に抑えます。

  • 主要機能ブロックの変換
  • 消費電力を削減するユーザ RAM のマッピング
  • ダイナミック消費電力を削減するためのロジックの再構築
  • ロジック入力を適切に選択し、トグル率の高いネットのキャパシタンスを最小化
  • コア・ロジック面積の削減および配線の最適化で 配線におけるダイナミック消費電力を削減
  • 配置の変更によってクロック消費電力を削減