Stratix® GX デバイスは、スペクトラム拡散クロッキング、クロック切り換え、周波数合成、プログラマブル位相シフト、プログラマブル遅延シフト、外部フィードバック、プログラマブル周波数設定など、これまではハイ・エンドのディスクリート PLL デバイスにしかなかった PLL 機能をチップ上に搭載した初めてのFPGAです。システムとデバイスの性能を高める Stratix GX の PLL は、最新のクロック・インタフェース機能とクロック周波数合成機能を提供します。Stratix GX デバイスには、PLL リコンフィギュレーション機能もあり、デバイス全体のプログラミングをやり直すことなく、PLL 構成を変更することができます。
スペクトラム拡散クロッキング
システム内部の電磁妨害(EMI)を低減するために、Stratix GX デバイスのエンハンスト PLL ではスペクトラム拡散技術(1)が採用されています。これは、クロックのエネルギーを広い周波数帯域に分散させる技術です。スペクトラム拡散クロッキング方式は、基本クロック周波数エネルギーを分散させて、特定の周波数におけるエネルギーのピークを最小に抑えます。スペクトルのピークの振幅を縮小すれば、システムは EMI 放出規格に適合しやすくなり、従来の EMI 抑制関連のコストが削減されます。エンハンスト PLL は一般に、0.5% の下降拡散変調を実行します。
クロック切り換え(クロック・スイッチ・オーバー)
今日のネットワーキング・システムでは信頼性が必須要件であるため、設計者は巨額の損失をもたらすダウンタイムを防止するために、高信頼性システムを構築することを強いられています。冗長なクロッキング方式の採用は、高信頼性システムを構築する効果的な方法のひとつです。Stratix GX の PLL には柔軟なクロック切り換え機能があり、これによって、元のクロックが故障した場合には、冗長クロックで PLL をドライブすることが可能になります。この機能は、周波数の異なるクロック入力間の切り換えにも使用することができます。クロック切り換えは、動作周波数を手作業で切り換えることが必要なビデオ・アプリケーションに便利です。クロック切り換え機能は、システムの信頼性を保証するために信頼性が高いクロッキング方式を必要とするテレコム、ストレージ、サーバなどの市場で、広く採用されています。 図 1 に、Stratix GX のクロック切り換え回路のブロック図を示します。
図 1. Stratix GX のクロック切り換え回路
PLL リコンフィギュレーション
PLL リコンフィギュレーションを使用すると、入力クロック周波数の逓倍や分周により出力クロック周波数を上下させたり、PLL 周波数や出力クロック・スキューをリアルタイムで変化させたりすることができます。Stratix GX の周波数合成機能とプログラマブル遅延機能は、瞬時に変更することができます。たとえば、PLL の出力周波数やクロック遅延をプロトタイプ環境で変更することができます。この機能は、チップの他の部分のプログラミングをやり直さずに、PLL リコンフィギュレーションを実行できるようにします。さらに、システムをデバッグする際には、PLL パラメータを変更してシステムのタイミングを最適化することが可能です。
周波数合成
Stratix GX デバイスの PLL には周波数合成機能があり、入力クロック周波数の逓倍や分周を行って新しい内部クロック周波数を生成することができます。Stratix GX の各 PLL は最大 10本 のユニークな出力クロック周波数をサポートしており、複数のオン・チップとオフ・チップのクロック・ドメインを管理することができます。周波数合成は、HyperTransport や RapidIO 標準規格などの、ハーフ・レート・クロッキング方式を使用する高速インタフェース標準規格への対応を可能にする必須機能です。
プログラマブル位相シフトとプログラマブル遅延シフト
プログラマブル位相シフト機能は、入力クロックの位相を段階的に最小 160ps のまで調節できるようにします。この機能により厳格なタイミング・マージンを管理できるようになるため、高速インタフェース要件への適合が可能になります。微調整が可能なプログラマブル遅延シフト機能は、各 PLL 出力について高度なタイミング遅延シフトの制御を実行できるようにします。ディスクリート遅延エレメントの使用により、各 PLL 出力を、任意の 2 つの出力間において、 -3.0ns~+3.0 の範囲で 250ps のインクリメントでシフトすることができます。プログラマブル遅延シフト機能では、クロックの調節による tCO や tSU の最適化も可能なため、厳格な I/O タイミング要件に適合することができます。
外部フィードバック
Stratix GX の PLL は、オフ・チップでドライブすることができます。外部フィードバック機能は、オフ・チップ・クロックを自動調整して、基板のスキューを補正できるようにします。外部フィードバックは、PLL が動作時に外部クロック出力を調節できるようにして、温度や電圧の変動に起因する遅延の変化を補正することにより、システムの安定性を確保します。外部フィードバック機能を使用すると、基板の遅延を補正して、クロックのエッジが外部クロックのすべてのデスティネーションにも同時に到着するようにできます。
プログラマブル帯域幅
PLL の帯域幅は、入力クロックとジッタを追跡する能力を示す尺度です。Stratix GX デバイスを使用する場合、設計者は Quartus® II ソフトウェアに最小帯域幅と最大帯域幅を自動設定させることができますが、手作業でこのソフトウェアの帯域幅の設定値を変えて、入力クロックから必要量のジッタを除去することもできます。広帯域幅の PLL は、リファレンス・クロックにすばやくにロックして、クロックの変化に反応することができます。狭帯域幅の PLL は広帯域幅の PLL よりロックに時間がかかりますが、除去するジッタの量は広帯域幅の PLL を凌ぎます。この機能は、カスケード接続の PLL を必要とするアプリケーションで、高い柔軟性を提供します。
