モバイル通信は、先進国では多くの住民にとって主要な通信方法になりつつあります。モバイル通信は一般に 2.5G テクノロジに基礎を置いており、現在これらの国の大部分でデータ・サービスが利用できるため、人々がビジネス目的や個人的に情報を交換する方法が大きく変わるものと思われます。
データ・サービスが普及するにつれて、より大容量の帯域幅が必要になります。この新しい要求に応えるには、モバイル通信システムが 3G に進化しなければなりません。3G は、最大 2 Mbps の高速データ・レートを達成すると同時に、帯域幅をより効率的に使用します。帯域幅の増加に対応する主な手法の 1 つがダイバーシティ技術を用いることであり、3G 標準仕様のほとんどでこの技術が採用されています。しかし、これにはアンテナごとに追加トランシーバが必要です。これが大きなコスト要因となって、運用者がこのテクノロジを活用して帯域幅の可用性を高める妨げとなる可能性があります。デジタル IF と DPL (Digital Predistortion Linearizer) 手法の 2 つは、トランシーバのコストを下げ、早い段階で 3G を実現可能にする重要な技術です。
3G 基地局システムの概要
図 1. 3G 基地局アーキテクチャ
図 1 に、3G 基地局の一般的なアーキテクチャを示します。トランシーバ・カードにはデジタル IF 機能が搭載されており、デジタル・ドメインで最初の IF や非線形パワー・アンプを補償するためのプリエンファシスを実行する DPL を実装しています。トランシーバ・カードは通常、バックプレーンを経由してチャネル・カードにリンクします。高速性が要求されるリンク、一般にノイズの多いバックプレーンに布設された長いトレース長、および信号が通過する複数のコネクタを考慮し、通常は CDR ベースの実装が使用されます。
トランシーバ・カードでの Stratix GX の使用
以下の図 2a および 2b に、シングル・キャリア・トランシーバ・カードの機能ブロック図を示します。送信方向(図 2a)では、1 つまたは複数のチャネル・カードからバックプレーンを通して、高速シリアル信号(Serial RapidIO または独自のインタフェース)のデータを受信します。最初にデータのフォーマッティングとゲイン・コントロールが行われ、ベースバンド・フィルタリングと補間がそれに続きます。次に信号はプリイコライズされ、RF 送信チェインの最後にあるパワー・アンプ (PA) の非直線性が補償されます。PA の応答の変動(温度変化や経時変化による)に適応するために、PA の出力が継続的にモニタされ、LUT 値がダイナミックに更新されて、PA の動作の偏差が補償されます。また、入力と出力間の平均二乗誤差が計算され、新しい重みが算出されます。新しい LUT を計算するための再帰的アルゴリズムをアルテラのソフト・プロセッサ Nios に実装できます。Nios のカスタム命令機能により、このアプリケーションの性能要求に容易に応えることができます。複雑な乗算の後、信号は NCO で生成されるキャリア信号を使用して高い周波数に変換されます。I 信号と Q 信号が合成され D/A コンバータを通過して、アナログ・ドメインでさらに処理されます。
レシーバ側では、デジタル IF 手法を使用して IF 信号をサンプリングし、デジタル・ドメインで復調とチャネル化を実行します。アンダーサンプリング手法を使用して、高周波数 IF 信号(標準 100+Mhz)を量子化することができます。広帯域 IF 信号が直交乗算によって、複合的なベースバンド信号に変換されます。NCO は乗算器のための直交信号を生成します。複合ベースバンド信号は、ディシメーションに起因するエイリアシングを防止するためにローパス・フィルタでフィルタされます。フィルタされた信号は高速シリアル・リンクを使用して、チャネル・カードに送られます。
図 2. トランシーバ・カードの実装: Transmit Side
図 3. トランシーバ・カードの実装:受信側
Stratix GX を使用してトランシーバ・カードの機能を実現する場合、2 つの重要な利点があります。すなわち、柔軟性と高度な統合化です。
StratixGX および DSP 開発ソリューションを使用して、迅速にカスタム・デザインを作成し、自分のシステムに最適なシステム性能(例えば、隣接チャネル電力比仕様)を達成できます。また、自分の製品に必要なキャリア数だけでなく、必要なマルチモード能力も実装することができます。
Stratix GX により、DPL、Digital IF、およびバックプレーン・トランシーバ・リンクを統合できます。この機能統合によって、コストが節約されボード・デザインが簡素化されます。
